気になる健康夜にお菓子を食べてもいいの? おいしい「夜おやつ」との付き合い方
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マイちゃん
- 「大人のぽりぽりクラブ」ユーザーを対象に行ったアンケートによると4人中3人が夜におやつを食べていることがわかりました。夕食後におやつを食べる人は14時から16時におやつを食べている人に次ぐ多さです。
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ガンさん
- しかし夜におやつを食べることはあまり推奨されているイメージがありません。アンケートでも「本当はよくないと思うけれど、どうしても食べてしまう」といった記述をしている方が数多くみられました。
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マイちゃん
- どうして夜におやつを食べたくなるのでしょう。また夜におやつを食べるときに気をつけなくてはならないことは何でしょう。栄養の専門家である札幌保健医療大学 保健医療学部 教授の川口美喜子先生に教えてもらいました。
夜おやつを食べるときは「血糖値スパイク」に注意
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マイちゃん
- 多くの方が夜におやつを食べることに罪悪感を覚えているようですが、夜におやつを食べることはそんなにいけないことなのでしょうか。
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川口先生
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少し気をつけて食べるようにすれば大丈夫ですよ!
まずはおやつを夕食の直後に食べることについての注意点を説明しますね。
食後のデザートや食事の締めとしておやつを食べると、一回の食事から摂取する糖質が増えることになり、血糖値スパイクを引き起こす原因になります。血糖値スパイクは血管に負荷をかけ、脳卒中や心筋梗塞を引き起こすリスクを高めてしまうため注意が必要です。
それから夜におやつを食べること全般の注意点として、夜にエネルギーを過剰摂取すると脂肪肝の形成や肥満につながる恐れがあることが挙げられます。
消化吸収された食べ物の栄養は肝臓に蓄えられます。起きて活動をしているうちはそれがエネルギーとして消費されますが、食べた後にすぐに寝てしまうとエネルギーの消費量が減ってしまい、栄養を使い切ることができません。
余ったエネルギーは脂肪として蓄えられ、これが脂肪肝や肥満の原因となるのです。よって、夜におやつを食べるときは、日中に食べるとき以上に注意が必要です。
夜おやつの目安は200kcal以内に抑えること
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ガンさん
- 夜におやつを食べたいときは、どのような注意をすればいいのでしょう?
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川口先生
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一度に食べ過ぎないように心がけましょう。目安としては1食200kcal以内に抑えることです。それから血糖値を急上昇させるおそれのある単糖類や二糖類の食品を避けること※。寝ている間に消化器官を休ませるため消化が良いものを選ぶこともポイントです。
具体的には干し芋などの芋類やおせんべいなどの米菓類がおすすめです。干し芋は、血糖も上がりにくく、食物繊維が多いため腹持ちが良く満足感が得られます。おせんべいは個包装になっているものが多いので、エネルギー計算がしやすいので夜のおやつにも選びやすいですよ。
※単糖類には蜂蜜や果物、二糖類には砂糖や甘酒が挙げられます。
また、夜におやつを食べすぎると朝起きたときに空腹を覚えなくなってしまうことがあります。朝食を食べずに午前中を過ごしてしまうと、昼食時の暴食につながり、こちらもまた血糖値スパイクの発生リスクがあります。夜におやつを食べるときは、自分の体調をよく確認し、朝ご飯が食べられるコンディションになるように心がけましょう。
もちろん、おやつの後の歯磨きは忘れずに。歯周病など口腔内の病気は全身の不健康につながります。
1日のトータル量で考えよう!
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マイちゃん
- どうして夜におやつを食べたい人が多いのでしょうか。
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川口先生
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お腹は満たされているはずなのに食べたいという場合は、夜におやつを食べることが精神的な安らぎになっていたり、心地の良い習慣になっていたりするからなのでしょう。このような場合は、1日のトータルのエネルギー摂取量を考えておやつを選んでみてください。エネルギーの摂取量が過剰になると肥満や内臓疾患につながる可能性があるので、食べる量が適正になるように一日のなかでエネルギー摂取量をコントロールするようにします。どうしても夜におやつを食べたいという方は、どこかでエネルギーの摂取量を控えるといいでしょうね。
一方で、夜に「小腹が減ってしまう」「空腹を満たすためにおやつを食べたい」という方は、きちんと食事が摂れているかをまず見直すようにしてください。3度の食事によって栄養バランスの取れた食事をしてもなおお腹が空くというのであれば、補食としておやつを食べることは問題ありません。栄養補給はおやつ頼みにならないようにしたいですね。
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マイちゃん
- 夜のおやつとも上手に付き合うことが大切なのですね。ありがとうございました!
取材協力
川口美喜子
札幌保健医療大学 保健医療学部 教授、大妻女子大学 家政学部
特任教授、島根大学医学部 特別協力研究員。
大妻女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻卒業、管理栄養士取得したのち、島根大学医学部で博士(医学)学位を取得。専門はがん栄養、食育、スポーツ栄養、高齢栄養。
管理栄養士の卒後教育、在宅介護における食事の指導、新宿区の子どもたちを対象とした「食とスポーツ」の支援、千代田区在住者・就労者のための妊活食支援などを精力的に行う。
著書に『がん専任栄養士が患者さんの声を聞いてつくった73の食事レシピ』(医学書院)、『いっしょに食べよう
フレイルを予防し、老後を元気に暮らすためのらくらくメニュー』(木星社)、『100年栄養』(サンマーク出版)などがある。