みなさんに聞いてみましたぽり談:vol.4 小説家
ガンさん
- 人の味覚は十人十色。「大人のぽりぽりクラブ」では、我々が検証した結果をおすすめマリアージュとして紹介していますが、食べる人によって「合う!」と思う組み合わせは変わってくるものです。
そこで、バラエティ豊かな団体に協力をお願いして、「ぽりぽり×お酒」の素敵な組み合わせを談話の中で探ってもらうことにしました。
マイちゃん
- 第4回にご登場いただくのはなんと小説家のみなさん! 時代小説を執筆されている方々です。
ガンさん
- お酒を飲みながらではありますが、作家ならでの表現で大人のぽりぽりの美味しさを表現してもらいたいですね。
マイちゃん
- 豊かなボキャブラリーに痺れましょう!
ガンさん
- では、今回の「ぽり談」を始めて行きましょう。よろしくお願いします!
参加メンバー
坂井希久子(さかいきくこ)
2008年「男と女の腹の蟲」で第88回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。当時は現代を舞台にした小説が中心だったが、2016年ごろから歴史小説を執筆し「居酒屋ぜんや」シリーズが大ヒットした。最新作は『つるつる鮎そうめん 居酒屋ぜんや』(ハルキ文庫)。日本酒以外は酒とみなさなかった父の影響で日本酒が好き。
誉田龍一(ほんだりゅういち)
2006年『消えずの行灯』(双葉文庫)で第28回小説推理新人賞を受賞しデビュー。以来、コンスタントに作品を発表し続け、書店でブックフェアが組まれることもある。読みやすい文体に定評あり。最新作は『日本一の商人』(角川文庫)。日頃飲むのはサワー類。
谷津矢車(やつやぐるま)
2012年『蒲生の記』で第18回歴史群像大賞優秀賞受賞。2013年『洛中洛外画狂伝 狩野永徳』(学研パブリッシング)でデビュー。本屋が選ぶ時代小説大賞候補に過去3回選ばれている。最新作は『刀と算盤 馬律流青春雙六』(光文社)。出身地が銘酒「澤乃井」を造っているところだけあり、辛口の日本酒が好き。
阿久津武信(あくつたけのぶ)
くまざわ書店南千住店の店長。作家との交流が多く、大勢の作家を集めたサイン会などを主宰することがある。「酒ならなんでも好き」だといい、「あぶさん」すら楽しめるそう。
ビールとの相性を巡り、ハイテンション談義がスタート!
【塩わさび×ビール】
——では、さっそく「ぽり談」を始めましょう。まずはビールと塩わさびですね。
谷津
- これ、香りからテンション上がりますよ。
誉田
- あ、わさび来るわ。
谷津
- でも、ツーンとした感じではないかな。
坂井
- たまに辛いのがあるけど
誉田
- ビール、よく合うね。
【えび黒こしょう×ビール】
坂井
- エビの匂いが……あっ、最初にエビで後から胡椒が来る。
谷津
- でも胡椒に支配されていないのがすごい。バランスがいいなぁ。おかきの美味しさもフレーバーの美味しさもある。
阿久津
- ……あまりの美味しさに喋らずひたすら食べてしまう。
誉田
- 食いしん坊バンザイですよ。
【マヨカリ×ビール】
谷津
- これも外さないなぁ。犯罪級です。
坂井
- お子さんが好きそう。
谷津
- 万人向けの味ですね。ご飯にかけたい。
誉田
- うん、ちょっとふりかけみたい。マヨはこのままでいけるなぁ。
谷津
- お子さんがジュース片手に楽しむときはこれでしょうね。
坂井
- 今のところ、ビールとは黒胡椒が一番かな。マヨは白ワインとの相性が良さそうじゃない?
【枝豆あられ×ビール】
谷津
- 枝豆感がすごい!豆のプリッとした感じがないけど見事に味を閉じ込めてる。印象に残る味だからビールで洗い流すと美味しい。
坂井
- うん、後味がしっかり枝豆でビールと合う。これは単体で食べるよりビールと合わせた方がいいんじゃない?
谷津
- わかるー!
【えびカリ×ビール】
坂井
- カリってカレーのこと?
阿久津
- 香りがいいですね。
谷津
- スパイシーで甘みがある。
坂井
- 美味しい!単なるカレーパウダーとは違ってコクがある。
谷津
- 丹精込めて煮込んだカレーを浴びせました、みたいな。
阿久津
- エビ感も出てる。
谷津
- ビールとは枝豆が一番よかったかな。
坂井
- 私もー。好きなのは黒胡椒だけど、ビールとなら枝豆。
誉田
- ビールとは黒胡椒かな。
不思議な例え話が増え始めるハイボールとのポリアージュ
——改めて、乾杯をして進めてください。
【塩わさび×ハイボール】
谷津
- 炭酸で塩わさびの強い個性がリセットされる感じがある。ビールに対しては繊細すぎたけど、これとはいけるかも。
坂井
- ハイボールがわさびの後味を引かせて拭い去るよう。ビールより合う!
誉田
- ハイボールと食べると美味しいですね。坂井さんはさすがグルメものを書いているだけあって、味の表現がうまいなぁ。
坂井
- みんなもっと感想をいいなさいよ。食に興味を持って!
誉田
- 本当に美味しいとき……男は黙ってサッポロビール……。どう合うかを説明するのは結構難しいんだよ。
阿久津
- ……美味しい。
【えび黒こしょう×ハイボール】
坂井
- やっぱり単体ではこれが一番好き。
谷津
- エビの繊細さが隠されなくていい。これは合うなぁ。
誉田
- えび黒こしょうは万能選手で、合うとか合わないとかはないのかもしれない。水でも美味しいもん。
【マヨカリ×ハイボール】
谷津
- マヨも万能で使いどころが困るくらい。
坂井
- ……う〜ん、バッチリではないけど美味しい。
谷津
- マヨはどこにいっても外様感がある。何球団も渡り歩いてきた代打選手みたいな。どれと合わせても美味い。
坂井
- えー、そうかな。私は「我こそはマヨなり」という感じがするなー。どこにも染まり切らない感じ。
誉田
- どの酒が好きかによって多分印象が変わるよね。
阿久津
- マヨ好きはこれにさらにマヨをつけたい。
谷津
- 七味もいい。
坂井
- 酒にはその方が合うかも!
【枝豆あられ×ハイボール】
誉田
- これは個性が強いから滑るかもしれない。うん、圧倒的にビールとの相性の方が良かったなぁ。
谷津
- そう言われると、作家としては個性が強いやつを褒めたくてしょうがなくなる(笑)。僕は枝豆あられみたいになりたい。
【えびカリ×ハイボール】
誉田
- 美味しいんだよな、これだけで。
坂井
- これは合う!カレーの風味が消されず、主張の強さが引き立てられる。
谷津
- 僕はもう枝豆あられを応援したいので、どこでも使える人は支持しません。
誉田
- ハイボールは何にでもよく合うね。
坂井
- えびカリの次点が塩わさびかな。
喧嘩が多い白ワイン。枝豆あられとの相性は、関ヶ原の合戦!?
【塩わさび×白ワイン】
谷津
- 僕は、これはあかん。酸味が喧嘩してる。
坂井
- そう?私はいけるな。
誉田
- わさびをより強く感じるから、わさび好きにはいいのかも。
【えび黒こしょう×白ワイン】
谷津
- うーん、やっぱり酸味が……
坂井
- うん、強く感じちゃう。
誉田
- これは合わないね。メチルアルコールを飲んでいるみたい。……飲んだことないけど。それにしてもここまで僕たち喋りすぎじゃない? 日頃は三日間誰とも喋らないことがあるくらいなのに。
坂井
- うさぎに話しかけるくらいね。
誉田
- 久しぶりだから声を出したくなっちゃうんだよね。普段じっと座って物書いているから。作家生活は足も退化します。
【マヨカリ×白ワイン】
坂井
- これは合いそう
誉田
- いやいやいやいや……このワインかなり強いですよ。
谷津
- 僕は好き。
阿久津
- 今までの二つと比べたらいいかも。
【枝豆あられ×白ワイン】
坂井
- 流されていく感じがしない……。
谷津
- 調和しない。口の中で関ヶ原の合戦が起きているみたい。
坂井
- どっちも主張があるから。
阿久津
- 後味は悪くないですよ。
【えびカリ×白ワイン】
谷津
- 後味的にはこれが一番かな。
坂井
- 私もこれが一番。
誉田
- ワインって外国のものでしょう。カレーも外国のものだから合うんだよ。
大まかすぎて子どもみたいな理屈だけど。
谷津
- 神家正成※推理小説家 って作家と僕の相性みたい。
誉田
- 内輪ネタすぎて読んだ人全然分かんないでしょ!
個性の強い赤ワインは、マヨがまとめる
【塩わさび×赤ワイン】
坂井
- これはあんまり……。おかきが赤ワインを吸い込んじゃう感じがある。
谷津
- 侍がフランスに行って「拙者は場違いじゃ」って感じか。
坂井
- なんでござるかこれは!
谷津
- 不幸だ……どっちも美味しいのに「君と僕とでは住む世界が違うんだ」っていうやつだ……。
【えび黒こしょう×赤ワイン】
坂井
- うーん、米の味がなくなってからエビとならいけるかな。
阿久津
- 飲んだ後より食べた後の方がいける。
誉田
- 赤ワインって個性強いんだなぁ。
谷津
- 魚でも力不足なくらいですから!
坂井
- 肉系の味、カルビ味とかあればいいんじゃない?
誉田
- ステーキ味があれば……。
谷津
- 新商品になりますよ、それ。
【マヨカリ×赤ワイン】
阿久津
- これはいける!普通に文句がない。
誉田
- わかってきた!ポリポリは全部美味しい。それに対して酒が落とすか上げるか。相手によって変わるんだ。
谷津
- マヨは赤ワインの個性をうまくまとめてくれますね。
【枝豆あられ×赤ワイン】
誉田
- これは駄目だ。
坂井
- 味が分離する。まずい。
阿久津
- 枝豆が完全に殺されている……。
【えびカリ×赤ワイン】
誉田
- 私の考えた法則でいうと外国のもの同士だから合いますね。
谷津
- 僕はだめ。えびカリの持つ甘さと赤ワインの持つ甘さのベクトルが違うから足を引っ張り合う。出会ってはいけない二人だ。
和には和で!日本酒は枝豆あられとの相性が抜群!?
【塩わさび×日本酒】
坂井
- これはもう鉄板でしょ。……あれ、意外とビールの方が良かったかも。
阿久津
- 僕は全然OK。
坂井
- 私もOKなんだけど、ビールの方が合うなって。
【えび黒こしょう×日本酒】
谷津
- 日本酒のバッサリいく感じが合っているなぁ。
誉田
- 坂井さんの本には日本酒は出てくる? その中で黒胡椒が合うって書いちゃったら?
坂井
- エビも合うんだよなぁ。
【マヨカリ×日本酒】
坂井
- 合わなくはない、かな。
谷津
- マヨの酸味と日本酒の酸味がぶつかる。
誉田
- マヨはやっぱり外様だから、純粋な和風が来るとだめなんだ。
【枝豆あられ×日本酒】
坂井
- これは好き!
谷津
- 俺もこれ大好き!枝豆の自然な味わいと日本酒がきれいに結びつく。
坂井
- 枝豆の後味が日本酒にすごく合う。
阿久津
- ビールとは違った相性の良さ。
誉田
- これ、酒が薄い気がするな。
坂井
- えっ!?
谷津
- そんなことはないと思うけど……。
坂井
- 枝豆ちゃんは食べているとだんだん粘りが出てくるのがすごいなぁ。
【えびカリ×日本酒】
阿久津
- これは厳しい……。
谷津
- うん、苦手だなぁ。お互いが別の音楽を奏でているみたい。
坂井
- 不協和音だ。
誉田
- 朦朧としてきた三次会で組み合わせてびっくりする味だ。
発表! 私のベストマリアージュ
一通り食べ比べてもらったところで、みなさんのベストだと思う組み合わせを教えてもらいました。
谷津矢車:ビール×枝豆あられ
坂井希久子:ビール×塩わさび
誉田龍一:ハイボール×えび黒こしょう
阿久津武信:日本酒×枝豆あられ
坂井
- 相性を探るのって難しいね。
誉田
- 平均的にどれとでも相性がいいのはえび黒こしょうだったと思う。
坂井
- えび黒こしょうはそのものが美味しいからね。
誉田
- 枝豆あられの美味しさも抜群だよ。
谷津
- どれになりたいかでいったら僕は枝豆あられ。全部が優秀とは言えないけど、高得点をマークするジャンルもある。
坂井
- 私はえび黒こしょうになりたい。
誉田
- 僕はえびカリ。
阿久津
- じゃあ僕はマヨ。
——なぜか「どのポリポリになりたいか」でポリ談が終了しました。みなさんありがとうございました!
※掲載商品は取材当時のものです。現在、取扱いのない商品もございます。あらかじめ、ご了承ください。現在販売の商品はこちら(http://www.iwatsuka.jp/otonanootsumami/)です。