ぽりぽりのことオオソデフリってどんな意味?「大袖振豆もち」をキャラクター化! 第5回米菓キャラクター座談会
マイちゃん
- 大人のぽりぽりクラブでは、岩塚製菓のアイテムにもっと親しみをもってもらうために各人気アイテムをキャラクター化しています。キャラクターの特徴は、毎回ゲストを編集部に迎え座談会方式で決定。
話し合った内容をもとにイラストレーターの経 真珠美さんにキャラクターを描き起こしてもらっています。
第5回のゲストは和文化研究家の三浦康子先生。豊富な和の知識を用いてキャラクター化を手伝っていただきます。
ガンさん
- 今回のテーマは「大袖振豆もち」。サクサクの歯ざわりととろけるような口あたり、香ばしい大豆の甘みが絶妙なアクセントになっているこのアイテムはどのようなキャラクターになるのでしょう。
さっそく見てみましょう!
我が家の「アレ」といえば「大袖振豆もち」
――三浦康子先生は様々なメディアに登場されている和文化研究家です。「大人のぽりぽりクラブ」では「『おやつ』の本当の意味を知っている? 歴史を知っておやつをもっと楽しもう」の記事でもお世話になりました。先生、今回もどうぞよろしくお願いします。
三浦
- はい、よろしくお願いします。和文化研究家としてみなさんのお役に立ち、面白いと思ってもらえるようなお話ができればと思っています。
――先生は「大袖振豆もち」が大好物だとうかがったのですが……。
三浦
- そうなんです。というより「大袖振豆もち」は我が家の定番で。自宅のお菓子入れに必ず入っているアイテムなんです。家族には「アレ買ってきて」で通じるほど、いつも食べているおせんべいなんですよ。
――今日はその「大袖振豆もち」への気持ちを思う存分お話しください。
岩塚製菓の本質に触れられるアイテム「大袖振豆もち」
――改めて「大袖振豆もち」とはどんな商品なのでしょう?
編集部O
- 「大袖振豆もち」はまさに岩塚製菓の本質に触れられるアイテムなんです。国産米を100%使用しているのはもちろんのこと、大豆も北海道で契約栽培されたものを使っているんです。使用している音更(おとふけ)町の大袖振大豆は一般的な大豆よりもたんぱく質やイソフラボンの含有量が多く、甘みが強いのが特長です。おせんべいとの相性がとってもいいんですよ。
編集部N
- 1996年に発売がスタートした「大袖振豆もち」は2021年に発売25周年を迎えます。実はそれまで豆入りのおせんべいは敬遠されがちで、あまり人気のある商品にはなりませんでした。けれど「大袖振豆もち」はふっくらした生地と大豆のほどよい軟らかさがマッチして豆入りのおせんべいの中では異例のヒット商品となりました。
――なぜ豆入りのおせんべいは敬遠されがちだったのでしょう?
編集部N
- 生地のかたさと豆のかたさが合わないと違和感を覚えてしまうようです。
編集部O
- 「大袖振豆もち」はとにかく食感にこだわった商品なんですよ。通常、米菓は生地を固めてから適切な大きさにカットして焼き上げるのですが「大袖振豆もち」は餅がやわらかい状態にあるときにカットしてしまうんです。こうすることで、きめ細やかでふっくらとした食感が楽しめるようになります。口の中でとろけたときの舌触りや喉越しが、他の米菓とは全然違うんですよ。
三浦
- 「大袖振豆もち」の口溶けの良さには本当に驚かされます。かたさの相性がいいから、大豆がそれを邪魔しないんですよね。
私が「大袖振豆もち」を初めて食べたのはおそらく15年くらい前のことですが、生地の食感の良さ、際立つ豆の甘みと風味に感動し、それ以来買い続けています。
引っ越しをする先々でも必ず「大袖振豆もち」を売っているスーパーを探して買っているんですよ。
編集部S
- 「大袖振豆もち」は実はパッケージがおしゃれですよね。ロゴがかわいいんですよ。
軽くてヘルシーな印象だし、小腹が空いたときというよりも「なんだか口寂しい」というときによく食べています。
編集部O
- その感じわかります。
編集部S
- 個包装なので気軽に食べられる点も優れた商品だと思います。
編集部N
- ビールのコピーで「神泡」という表現がありますよね。「大袖振豆もち」にはあれに通じる美味しさがあるんです。食べた時の空気感、生地のきめ細やかさ……。生地に均一に空気の穴を作るのには特殊な技術が要るんです。他の商品にはない特長です。
――フレーバーは昔から塩味だけなのですか?
編集部N
- 甘い醤油味を出したこともあったのですが、終売となりました。
編集部O
- 黒糖のような風味があったんですよ。こちらも美味しかったのですが、素材が良いので余計な味付けはいらないという結論に達しました。
大振袖と間違えられやすい「大袖振」の意味とは……?
三浦
- 大好きな「大袖振豆もち」なんですが、最初に「大”ふりそで”豆もち」と覚えてしまい、しばらく勘違いをしていました。
編集部O
- 実はよく間違えられます。
三浦
- 今後はもう間違えられないよう「大袖振」というネーミングについて今回は文化的な観点から少しお話をしようと思います。
「大袖振」は、「大袖」と「振」に分けられます。
まず「大袖」についてです。
大袖には2つの意味があります。
1つは鎧の大きな袖の部分のことで、弓矢や刀から身を守るためのものです。
もう1つは、袖口が大きく開いている袖のことです。通常の着物の袖は途中まで袖口が縫い付けられており、これは小袖(こそで)と呼ばれます。
大袖を着用するのは貴族や神に仕える仕事をしている身分の高い人たちでした。あくせく働くことが求められないので、活動的でない服を着ているのです。十二単や巫女さんの正装が大袖です。
対して労働をする庶民は動きやすい小袖を着用していました。晴れ着の振袖も小袖の一種で、とくに袖が長いものは「大振袖(おおふりそで)」と呼ばれます。この「大振袖」が商品名の「大袖振(おおそでふり)」とよく似ているので間違えやすいんです。
それから「振」の意味も考えてみましょう。
和の文化において「振る」という行為は呪術的な意味を持ちます。日本では何かを振ることによって魂を奮い立たせたり、厄を払ったり、祈願したりすることができると考えられてきました。例えば、神輿を振ることで神様の力を強めたり、「いってらっしゃい」と手を振ることで安寧を願ったりする行為がそれにあたります。
さらに「袖を振る」ことには気持ちを表す作用があります。とりわけ恋愛に関わるので、恋の破局を表す「ふった」「ふられた」という言葉はここからきています。相手を冷淡にあしらう「袖にする」、「ない袖は振れぬ」、「袖振り合うも多生の縁」などの言葉もこれに関連します。未婚女性の正装が「振袖」なのは、良縁を願って袖が長くなっていったからです。
キャラクター化するにあたり、このあたりのストーリーをもとにされてはいかがでしょうか。
品があって軽やか、そして北海道産の大豆を使っていることを表現したい
――とても面白いです。では、このお話から思い浮かぶキャラクター像はありますでしょうか?
三浦
- 十二単を纏い、たおやかに大袖を振る平安貴族の女性はいかがでしょうか。十二単の襲色目(かさねいろめ)という色の重なりや文様で、ふわっとした淡雪のような食感や、豆、稲穂も表現できると思います。
あっさりしていて品のある「大袖振豆もち」にはぴったりなキャラクターになると思いますよ。
編集部O
- いいですね。ただし重たいイメージにはならないようにしたいです。十二単だとどうしてもどっしりとしたイメージになりがちだと思うので。「大袖振豆もち」の軽い食感が表現できるように、軽やかな動きをするキャラクターにできないでしょうか。
――天女が着ているのは十二単ではありませんでしたか?
編集部O
- 天女は羽衣ですけど、大袖なのでいいですね。ただ、羽衣もいっぱい重ねてしまうと重たく見えるかも……。
三浦
- かぐや姫のイメージはどうでしょう。ふわっと天にのぼっていくイメージです。
編集部N
- 「大袖振豆もち」は北海道産の大袖振大豆を使っているので、それもどこかで表現したいです。
編集部O
- 本当にこだわった契約栽培大豆を使っているんですよ。
三浦
- 北海道の形を家紋のようにして入れてしまいましょうか。あっ、十二単には家紋は入りませんから、釵子(さいし)という冠を北海道の形にするのはどうでしょう。
――岩塚製菓は長岡の企業であることをアピールすることが少なくなかったのですが、それだとかなり北海道が強調されることになります。かまいませんか?
編集部N
- はい、かまいません。「大袖振豆もち」は豆推し、北海道推しのアイテムなので。
編集部O
- 十二単の一番外側はパッケージに使われている稲穂の柄や豆もちのロゴを入れたいですね。
三浦
- 金糸を入れてちょっとゴージャスにしてもいいですね。内側の襲ね色はピンクや黄色、緑など軽やかで優しい色がいいと思います。
――今回はあまり迷うことなく、ばっちり方向性が決まりましたね。それではこれらの条件をイラストレーターさんに伝えます。みなさん、出来上がりを楽しみにしてくださいね。おつかれさまでした!
プラスチック量が3割減!
「大袖振豆もち」のパッケージがスマートになりました
マイちゃん
- 岩塚製菓では境省が実施している「プラスチック・スマート」キャンペーンに参加するため、「大袖振豆もち」の製品保護のために使用していたプラスチックトレーを廃止、パッケージそのものプラスチック量も減らしました。内容量は変わりません!
環境に優しく、従来よりかさばらずスマートにお買い求めいただけるようになった「大袖振豆もち」をどうぞよろしくお願いします。
協力:三浦康子
和文化研究家
古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web、講演などで提案しており、「行事育」提唱者としても注目されている。連載、レギュラー多数。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭もとっている。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)、監修書『おうち歳時記』(朝日新聞出版)ほか多数。