ぽりぽりのこと「田舎のおかき」のカリカリほろほろ食感をどう表現する? 第3回米菓キャラクター座談会
マイちゃん
- 大人のぽりぽりクラブでは、岩塚製菓のアイテムにもっと親しみをもってもらうために各人気アイテムをキャラクター化しています。
キャラクターの特徴は、毎回ゲストを編集部に迎え座談会方式で決定。
話しあった内容を基にイラストレーターの経 真珠美さんにキャラクターを描き起こしてもらっています。
第3回のゲストは公益社団法人全日本郷土芸能協会 事務局次長の小岩秀太郎さん。全国の郷土芸能に詳しい小岩さんにヒントをもらいながらキャラクターについて話し合っていきます。
ガンさん
- 今回は一度食べたら忘れられない味「田舎のおかき」がテーマ。外はカリカリ中はほろほろ食感で根強いファンを多数抱えるこの米菓から、いったいどんなキャラクターが生まれるのでしょう。
今回は#StayHome #うちで過ごそう を実行するため、オンラインを中心に会議を行いました!
地域の特色が現れる米菓
——小岩さん、まずは日頃の活動について簡単な紹介をしていただけますか?
小岩
- 全日本郷土芸能協会 事務局次長としてお祭りや郷土芸能を世界へ発信したり、ネットワークを構築して応援しています。また、縦糸横糸合同会社を立ち上げ、故郷の東北地方の郷土芸能や祭りに関わる食文化や手仕事などのプロモーションや、企画提案のお手伝いをしています。
自身も出身地岩手に伝わる鹿踊(ししおどり)の踊り手であり、鹿踊を通して地方と都会をつなぐための、東京鹿踊の主宰もしています。
——岩塚製菓の米菓はご存知ですか?
小岩
-
もちろんです。新潟出身の妻は「田舎のおかき」の醤油味を猛烈におすすめしていました。「田舎のおかき」は醤油味もいいですが、ざらめも美味しいですね。「味しらべ」はお墓参りに持っていってよくお供えしていました。田舎の高齢者には甘い味って好まれるんですよ。砂糖が貴重な時代に育った方々には甘みって特別なんです。「味しらべ」や「田舎のおかき」のざらめ味はまさに田舎で好まれる味だと思います。
米菓は日本各地の文化を取り入れて独自の発展を遂げているものがたくさんあるので面白いですね。
編集部N
- 「田舎のおかき」は岩塚製菓のグループ会社が通信販売をしていた商品だったのですが、売れ筋がいいので後に岩塚製菓で商品化したアイテムです。今ではすっかり定番の品になっていますが、実は岩塚製菓の中では比較的歴史の浅い商品なんですよ。原料にもち米を使っているのでちょっとリッチな味わいです。現在は、塩、まろやか醤油、ざらめ、だし仕立ての4品で展開しています。
小岩
- だしはあご(トビウオ)を使っているようですが、これは九州の文化圏のものですよね。
編集部O
- 長岡でもトビウオはよく食べますよ。
編集部N
- 「新潟のラーメンにはあごだしがよく使われるので、あごは新潟の人にも馴染み深いものなんです。トビウオは給食にも登場するくらいメジャーな食材ですよ。
小岩
- なるほど、北前船によってつながっているのかな。
外はカリカリ、中はほろほろ食感の秘密
編集部N
- 「「田舎のおかき」は高周波の窯を使って焼成しています。生地の内側から熱を加えることで、あの独特の食感を作り出しているんですよ。
編集部O
- ぶ厚めの生地を中からじっくり膨らませているんです。
編集部S
- 素朴なのに贅沢な味わいでおやつにぴったりですよね。食べるときには緑茶を煎れています。
小岩
- 本当に田舎の景色が浮かび上がる味です。こたつの上の大皿にがーっと入れて延々と食べ続けてしまうような……。夏場は墓参りに行った後に食べたくなるような……。
見た目は無骨、食感は繊細な「田舎のおかき」を例えると……
——「田舎のおかき」は見た目は無骨ですが、食感や味わいは繊細です。キャラクターを使ってそのような魅力を伝えたいのですが……
小岩
- 郷土芸能にはまさにそういった要素があるんですよ。岩塚製菓のある長岡には伝統的な神楽がありますよね。神楽は田舎臭くて無骨な印象がありますが、実際に舞を観たり音を聞いたりするとその美しさにハッとさせられるんです。普通のおじいさんやおばあさんがステージのうえで輝く姿は本当にかっこいいものです。日頃は何ということはなくても、祭りの日に特別な輝きを放つのが田舎の生き方だと言えると思います。
長岡の郷土芸能といえば、みなさん何を思い浮かべますか?
編集部O
- すぐに思いつくのは悠久大鼓ですね。和太鼓の一種です。
編集部N
- 長岡には悠久山という山があり、それに由来する太鼓です。地域の祭りやイベントなどで使われます。
小岩
- 一般によく知られているのはそれかもしれませんね。獅子神楽というものもあるのですが、ご存知ですか?
編集部O
- あまり聞いたことがないです。
小岩
- 獅子舞の獅子の頭を被って踊る、疫病退散のための行事です。大きな口で噛みついたり、音を鳴らしたりして悪いものを退治するんですよ。
こちらが参考になります。
https://nagaoka-navi.or.jp/event/3318
新潟は神社が多く、獅子舞の種類が多いので様々なタイプがあります。これは女性用の着物を着ているのが面白いですね。まわしにも地域の特徴がよく現れているのではないでしょうか。
獅子神楽はお正月の行事の一環として行われるようです。中に入っているのは地元の人。さっきまでお酒を飲んで酔っ払っていたようなおじさんが突然衣装を着て獅子になるんです。
あとは瞽女(ごぜ)さんと呼ばれる家々を訪ね歩いて祝福の言葉を述べる盲目の女性たちの仕事も、長岡を代表する伝統文化の一つですね。
編集部O
- 田舎には手の込んだ古き良きものが残って今に続いています。その良さをキャラクターに込められるといいのですが。
編集部N
- 「田舎のおかき」の「田舎」にはとても強いメッセージ性がありますよね。
繊細さを表現するためには…?
編集部N
- 「田舎のおかき」が無骨な見た目ながらも繊細な商品であることは、製造過程にも現れているんです。普通、餅を焼くと形は均一にはならないですよね。あちこちが膨らんで歪になるのが通常です。けれど「田舎のおかき」の形は整っています。これは人為的に表面に細かいヒビを入れているからなんです。素朴そうでも案外繊細で手がかかっているんですよ。
編集部O
- この獅子舞神楽をキャラクター化するにしても、伸ばした指先がとてもきれいだったりとか、動きがしなやかだったりとか、そういった特徴をつけていきたいですね。
小岩
- 獅子の役は若者が担うことが多く、中にはものすごくかっこいい消防士のおにいさんが入っていることなんかもありますよ(笑)
編集部O
- 獅子はやっぱり赤くて少し恐いような正統派のデザインがいいんでしょうか。「田舎のおかき」のイメージとしてあまり攻撃性のあるものではない方がいいのですが……。
小岩
- 長岡市のものではないのですが、新潟の有名な獅子舞の一つに角兵衛獅子(かくべいじし)というものがあり、これはとてもかわいいんですよ。発祥は月潟村というところですが、越後獅子と言われるほどなので新潟の芸能と考えてもいいかもしれません。
角兵衛獅子はもともとは一家が満足に食べていけない時代に輸出産業として始まった芸能で、女の子たちが頭に小さな獅子を載せて曲芸をするんです。
編集部S
- アクロバティックな動きをするんですね!
小岩
- これが有名になり角兵衛獅子はあちこちの地域で観られるようになりました。
編集部O
- これをモチーフにすれば「田舎のおかき」の繊細さがよく伝わるように思います。座敷童子をモチーフとしている「味しらべ」と被らせないためにも、こっちのキャラクターはもう少し成長した女の子でもいいかもしれません。
丸く焼かれているおせんべいとは異なる、シュッとしたスタイルのよさが表せそうです。
角兵衛獅子を踊る女の子たちの努力が、「田舎のおかき」の丁寧に製造されているイメージにつながりそうです。
——色はどうしましょうか。
小岩
- あまり奇抜な色にするとモチーフがわかりにくくなるので、頭の獅子はそのまま赤がいいと思います。
編集部O
- 衣装などは「田舎のおかき」でよくイメージされるまろやか醤油の紫で良いと思います。
——それでは、「田舎のおかき」の新キャラクターは角兵衛獅子を舞う女の子をモチーフに進めていきましょう。みなさん、おつかれさまでした!
マイちゃん
- みなさん、おつかれさまでした。
「田舎のおかき」のキャラクターが可愛らしい女の子になりそうなことに驚かれた方もいるかもしれませんね。仕上がりを楽しみにしましょう。
イラストは6月以降に公開予定です。お楽しみに!
協力:小岩 秀太郎
1977年岩手県一関市生まれ。公益社団法人全日本郷土芸能協会 理事・事務局次長、縦糸横糸合同会社代表、東京鹿踊代表、行山流舞川鹿子躍保存会員。全国各地の郷土芸能の発信支援やネットワークの形成、振興に携わる。
http://tateito-yokoito.com/
https://to-shika.tumblr.com/