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気になる健康2025年はさらなる「減塩」がキーワードに!美味しく食べて、塩分を減らすには?

マイちゃん

マイちゃん

厚生労働省は2025年版の「日本人の食事摂取基準」を発表しました。この新しい基準を読み解くと、塩分摂取量をこれまで以上に減らすこと、ビタミンDや食物繊維を積極的に摂ることなどが目標として掲げられていることがわかります。
ガンさん

ガンさん

美味しく食べて健康に暮らすにはどのようなことを心がけて食事をするといいのでしょうか。札幌保健医療大学で栄養について研究している、川口美喜子先生に教えてもらいました。

2025年版の「日本人の食事摂取基準」、大きな変更点は減塩、ビタミンDと食物繊維摂取の推奨

2025年はさらなる「減塩」がキーワードに!美味しく食べて、塩分を減らすには?

マイちゃん

マイちゃん

まずは2025年版の「日本人の食事摂取基準」とはどのようなものなのかを教えてください。
川口先生

川口先生

「日本人の食事摂取基準」は厚生労働省が5年ごとに改定している、健康の維持・増進のためのエネルギーと各栄養素量の基準を示したものです。2025年は国民の5人に1人が後期高齢者となりました。そのため、国は健康診断でスクリーニングされ、医療の範囲より手前の保健指導でも対応すべき疾患(例:フレイル、骨粗鬆症、貧血等)について、エネルギー・栄養素との関連を整理する必要があるとしました。
マイちゃん

マイちゃん

具体的にどのような項目が変更されたのですか?
川口先生

川口先生

塩分の摂取量を減らすこと、ビタミンDを積極的に摂取すること、脂質異常症や高血圧症、糖尿病等の予防のために食物繊維をより取り入れることなどが推奨されるようになりました。
また、鉄は1日あたりの摂取量の上限値がなくなります。不要な分はきちんと代謝されることがわかったためです。貧血予防のためにも積極的に取り入れるようにしたいですね。
摂取の優先順位が下がった項目もあります。カルシウムは骨粗鬆症との関連性があまり見られなくなったことから、これまでのような積極的な摂取の呼びかけはされなくなりました。
いずれにしろ、今後もさまざまな食品をバランスよく摂ることが重要です。

とくに注意したいのは「減塩」

マイちゃん

マイちゃん

先生が最も重要だと感じている変更点は何ですか?
川口先生

川口先生

これまで以上の「減塩」が呼びかけられたことですね。塩分の摂取基準量は1日あたり男性は7.5g、女性は6.5gと2020年版と同じ数値が挙げられていますが、高血圧症などのリスクがある人は、男女ともに6.0gを目指していくことになりました。
塩分の摂りすぎは動脈硬化や腎臓病の原因になり得ます。適切な量の摂取を心がけていきたいですね。
マイちゃん

マイちゃん

とはいえ、減塩ってなかなか難しそうです。
川口先生

川口先生

日本高血圧学会はカリウムの摂取による塩分の排出もおすすめしています。塩分を「出す」ことにも目を向けてみるといいかもしれません。
実はこれでもまだ、世界的に見ると日本人の塩分摂取量は多いんです。世界的には5gが標準です。日本の食文化には漬物や干物など塩分濃度の高い食べ物が少なくありません。食文化を急激に変化させることは簡単ではありませんから、時間をかけて少しずつ摂取量を減らしていくことになるでしょう。

カリウムを多く含む食材って?

体内に取り込まれた塩分を排出するカリウム。現代の食生活ではなかなか摂りづらくなっていますが、実は身近な食材にふんだんに含まれています。とくに、芋類、豆、海藻、生野菜、果物、きのこにはカリウムが豊富。カリウムは水に溶けだしやすいため、野菜や果物は生食をする、調理する際は煮汁ごと食べられる調理方法を選ぶといいでしょう。
塩分は摂取量を減らす方法だけでなく、排出する方法も合わせて覚えることで上手に付き合うことができます。

減塩への第一歩は、何にどのくらいの塩分が含まれているのか正しく知ること

マイちゃん

マイちゃん

減塩のためにはどのようなことを心がけるといいのでしょう?
川口先生

川口先生

第一歩は、どこに塩分が多く含まれるかを正しく知っておくことです。
例えば、揚げ物にソースやケチャップをかける人は少なくありませんが、これらの調味料にどれくらいの塩分が含まれているかご存知でしょうか。大さじ1杯あたりの塩分量は、ウスターソースは1.5g、ケチャップは0.6gです。1回の食事での使用量を考えると、意外と少ないと言えないですよね。またパン類にも塩分が多く含まれていることもご存知ない方が多いのではないでしょうか。
マイちゃん

マイちゃん

イメージと本当の塩分含有量との間に差があることがあるんですね。
川口先生

川口先生

そうなんです。また味噌は塩分が多く含まれると感じるかもしれませんが、実はご家庭で作る味噌汁にはそれほど多くの味噌を入れません。出汁を引いて旨味を感じられるようになっていれば、その味で満足できるので塩分はそれほど多くないんです。一方でインスタントのコンソメスープはどうでしょう。一度、栄養成分表を確認してみてください。
マイちゃん

マイちゃん

まずは塩分への意識を持つことが大切なんですね。
川口先生

川口先生

パッケージされている食品には大抵栄養成分表が印刷されており、そこには塩分量が記載されています。ぜひ意識して見てみてください。
イメージと実態に差があることは間食においても同様です。おせんべいは塩分量が多いイメージがあるかもしれませんが、実はお米の風味が感じられるようなものであれば塩分が控えめなことが少なくないんです。例えば「岩塚の黒豆せんべい」は1枚あたりたったの0.06g。減塩を心がける人にはぴったりなおやつだといえるでしょう。
マイちゃん

マイちゃん

思い込みが、減塩を難しくさせてしまうことがあるんですね。
川口先生

川口先生

減塩に限らず、美味しく食べて健康に暮らすには正しい知識と少しの努力が大切です。食について思い込んでいることをぜひアップデートしてほしいですね。

取材協力

川口美喜子

川口美喜子

札幌保健医療大学 保健医療学部 教授、大妻女子大学 家政学部 特任教授、島根大学医学部 特別協力研究員。
大妻女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻卒業、管理栄養士取得したのち、島根大学医学部で博士(医学)学位を取得。専門はがん栄養、食育、スポーツ栄養、高齢栄養。
管理栄養士の卒後教育、在宅介護における食事の指導、新宿区の子どもたちを対象とした「食とスポーツ」の支援、千代田区在住者・就労者のための妊活食支援などを精力的に行う。
著書に『がん専任栄養士が患者さんの声を聞いてつくった73の食事レシピ』(医学書院)、『いっしょに食べよう フレイルを予防し、老後を元気に暮らすためのらくらくメニュー』(木星社)、『100年栄養』(サンマーク出版)などがある。